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5 | ああ、今年(平成22年)もかくのごと「暮れゆく」なり…! | 2010.12.13 |
●11月7日(日)…▼立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科主催の公開講演会『現世(うつしよ)の静寂(しじま)に“つながり”を想う―「講」の知恵を現代社会に活かす道筋を考える―』(14:00〜17:00 池袋キャンパス8号館8201教室)を聴講。講演会(【映画解説】小倉美惠子さん=ささらプロダクション代表 【鼎談】ジェフリー・アイリッシュさん=民俗学者;内山 節さん=21世紀社会デザイン研究科教授;由井 英さん=ささらプロダクション映画監督 【コーディネーター】渡辺 元さん=21世紀社会デザイン研究科教授 トヨタ財団プログラム・ディレクター)の前に上映された『うつしよの静寂(しじま)に』(由井英監督作品)を観る。 この作品の題名は、この4月から9月まで神奈川婦人会館で担当した『神奈川県の神々の歴史と風土』を話しているおり、何となく、その評判を耳にしていた。そして、まだ、非常に暑い頃、そのパンフレットが突然、わが手元に飛び込んできた。しかし、その映画を観る機会がなかった。そこへ、上記の講演会で、しかも無料で観ることができるというので大喜びで出かけたのである。とてもすばらしい映像作品である。 実は、半年間で閉講せざるを得なくなった『神奈川県の神々の歴史と風土』の後も、わたしは川崎市宮前区の馬絹と、大田区池上のわが家から自転車で行くと、その手前になる梶ヶ谷(金山)の、霊的エアーポケットというか、霊的スポットの磁場から抜け切ることができなかった。しかも、その霊的磁場は宮前区全体に広がりつつあった。そうした中で、宮前区が舞台になっている『うつしよの静寂に』を観たのである。とくに、映画は宮前区の初山を中心に、自転車で訪れたことがある麻生区の黒川などの、現世ではもう消え去ったと想われている習俗を、あたかも隠世から引きずり出して現世に写し(映し)出すように、丹念に描き出していた。 その映画を観たことで、さらに拍車がかかり、わがシマ(ただし島ではなく窟のほう)論は飛躍的にステージ・アップしつつある、と自認している。また、それを契機に、宮前区土橋出身のささらプロダクションの小倉さんとは何度もメールでやり取りした。来年あたり、私自身の、その研究(?)成果を、お見せすることができるかもしれません。 ▼その週の、たしか金曜日(12日)、この日(11月7日)、青ヶ島の廣江八千代さん(大正5年生まれ)が94歳で亡くなったことを知る。昭和48年秋、妻が産休代用教員として急きょ、国語を教えることになり、学校に出かけている間、八千代さん、否、あえて「八千バイ」と言おう―にみていただいたのである。わたしが朝、役場が始まる前、長男を背負って連れて行くと、「あが孫よ」と言って、嬉しそうな顔で長男を抱き上げてくれたことを、昨日のように想い出す。 ●11月25日(木)…▼新人物往来社から『日本のまつろわぬ神々―記紀が葬った異端の神々』(本体1800円+税)が刊行される。この本の第三章「近代に甦った太古の神々」の部分が、ぼくの書いた原稿(400字詰換算100枚強)です。といっても、別冊歴史読本・特別増刊86『よみがえる異端の神々』(1995年2月)収録の文章を加筆・修正して再録したものです。三嶋大明神・伊都能売神・天理王命・豊受大神・法華三十番神・天地金乃神・ハヤムシ・キミマンモム大神・金毘羅大権現・山田典野の姫君・天之日津久の11神。このうち、三嶋大明神は伊豆諸島、ハヤムシは青ヶ島、キミマンモム大神は沖縄についての記述です。別冊で読んでいなかった方は、ぜひ、この機会に、ご覧ください。 ●12月1日(水)…海洋政策研究財団主催の“島と海のフォーラム”(14〜16時:東京港区赤坂の日本財団ビル2F大会議室)を聴講。テーマは太平洋島嶼国における海面上昇への対応(東京大学大学院理学系研究科 茅根 創教授)/グレートバリアリーフにおける海洋管理の取組み(オーストラリア海洋資源安全保障センター[ANCOROS] リチャードケンチントン教授)/他。 この会場に、元・青ヶ島村役場職員の星野明宏さん(わたしとは平成2年9月〜12月という僅かな月日を共にしただけ)が来ており、旧交を温める。なお、彼はこの秋(平成22年10月15日付け)、小笠原の沖ノ鳥島の保全に関する「陸地造成方法」(発明の名称)で特許(特願2010−139276)を取っている。沖ノ鳥島の通常は岩にしかすぎないシマを、珊瑚が自然増殖して岩を取り囲み、島を大きくさせるという画期的なものであるらしい。彼の頑張っている様子を見て、袖すりあった者として、とても嬉しい。この特許が世に出て、沖ノ鳥島がまさに修理固成されることを祈りたい。 ところで、この日、日本財団へ行く前、永田町の日本離島センターへ寄り、このフォーラムを聴講するために日本財団前に自転車を置いたのだが、2時間半の間に自転車が壊されてしまった。ずいぶん元を取るくらい乗ったが、ひじょうに落ち込んでしまった。そのせいで、その後の数日間、嫌なことばかりが続いた。来年こそは修理固成光華明彩の年になりますように…! |
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4 | お知らせと、いわゆる“検察審査会”に関する問題 | 2010.11.01 |
●アイランダー2010…来る11月27日(土)・28日(日)の10:00から毎年恒例のアイランダーが国土交通省・財団法人日本離島センターの共同主催によって、池袋サンシャインシティ文化会館3F展示ホールCで開かれます。27日は18:00まで、28日は17:00迄です。今年のテーマは昨年と同じく「島へ行こう」「島で暮らそう」で、島の情報提供コーナー、アイランダーブース、アイランダーマーケット、島の工芸体験・ワークショップ、アイランダーステージ、島のグルメ食堂、島の特産品プレゼントなど盛り沢山。毎年、大きな賑わいを見せています。もちろん、青ヶ島の青酎や「ひんぎゃの塩」…等々も買えますよ。詳しくはhttp://www.i-lander.comへ。 ●河田真智子 講演+写真展『ひとりひとりが宝もの【in】沖永良部島』が去る10月22日(金)沖永良部島 和泊町中央公民館で開催されたようです。河田さんから頂戴した案内状の葉書には、次のようにあります。 「大学1年生の時、 『出会いを求めている旅びとです』と、 沖永良部島に手紙を出し農家に泊めてもらいました。 『また、おいで』と帰る港に見送ってもらい、 その言葉がキッカケとなり島への旅が 38年間続きました。 たくさんの人と出会いました。 その一つ一つが宝ものです。 それぞれの人が最も輝いている場所で 写真を撮らせていただきました。」 思えば、「あいらんだー」「島旅」という言葉を流行らせたというか、定着させたのも河田さんです。彼女に初めてあった頃は、彼女はたしかダイビング系の雑誌の編集者だったと思います。その後、結婚されて障害児の母親として、厳しい状況の中で島歩きを続行し、島と係わり続けているその姿勢に、ここで共感と連帯を表明します。みなさん、河田真智子さんにこれからも注目してください。 ●いわゆる検察審査会に関する問題…民主党の小沢一郎氏の問題に関連して検察審査会のことが話題になっている。たしか昭和47年か48年のころ、検察審査会の事務局から青ヶ島村役場へ電話がかかってきて、ある人が候補に選ばれたという。それを受諾するかどうか確認してほしい、という内容だった。その場で無理だと返事をしたかったが、いちおう本人の意思を有線放送電話で確認した。「あにおぅ…あんのことだか、わかりんのうが…。無理だらら…。そごんどうこと、やりほうなっきゃ」 こうして、候補名簿から外してもらった。検察審査会の審査員はその名簿から籤引きで選ばれるわけである。当時は、村営連絡船「あおがしま丸」が0と5が付く日に、運が良ければ波次第で就航する状態であり、たとえ審査員に就任し、検察審査会への出席要請があっても、開会の期日に間に合う保証はゼロだった。それに、当該者はすでに70歳を超えていた。 それから20年近く経った平成3年と5年にも、なぜか同じ人が2度も候補者となった。すごい確率である。そのとき、わたしは助役をしていたが、本人の事後確認をとる形で、以前のやり取りを胸に秘めながら、わたしが代理でお断りをした。わたしが青ヶ島村役場にいなかった時代に、その人が候補になったかどうか、もちろんわからないが、わたしが役場にいた六年弱の間に3度も選ばれるなんて、天文学的な確率と思われた。言葉の正しい意味で、よほど検察に愛でられているのである。 昭和40年代後半と平成の初めとでは、交通体系は雲泥の差である。平成の初めと今日でもその差はさらに改善されている。しかし、開催期日に100%間に合うという保証は、青ヶ島という外海型の孤立小型の離島の場合、今でもない。日本国民であるところの、全国最小村の青ヶ島村の島民が検察審査会の審査員や、裁判員に選ばれる権利を有していることは当然だが、わたしにはその選出方法に“裏”があるのではないかと疑問に思っている。実に、不思議なのである。これは守秘義務の範囲内での話である。 |
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3 | 宮本常一離島論集第五巻のことなど | 2010.10.06 |
●10月15日発行の宮本常一離島論集第5巻(第二回配本)『ふるさとの島にありて思う/島と文化伝承』(みずのわ出版、定価:本体2800円+税)に、解説(?)として「島共同体を天と底辺の両面からまるごと掴んだ目と耳」を書きました。わが友・大矢内生気(全国離島振興協議会事務局次長)も「『宮本常一離島論集』第五巻に寄せて」を書いています。書店ににてお買い求めいただくか、最寄の図書館に購入希望を出して、ぜひ、御覧下さい。詳しくは、みずのわ出版の公式サイト(www.mizunowa.com)を御覧下さい。 ●一方、6月30日発行の拙著『よくわかる祝詞』(創土社、1700円+税)も、同様に、よろしくお願い申し上げます。創土社(http://www.soudosha.jp) ●この4月から毎月、第2と第4の火曜日の1:30〜3:30pm、神奈川婦人会館(横浜市西区紅葉ヶ丘2)の平成22年教養講座の講師として「神奈川県の神々の歴史と風土」を講じてきました。しかし、9月14日午後1時15分ごろ突然に提出された公案にたいし28時間後これまた突然に(遅ればせ?)大悟し、28日を最終日としました。 この間、12回、とても勉強になりました。川崎市の神社の80%以上を実際、大田区池上のわが家から6000円也のママチャリに乗って参拝・調査しました。とくに、多摩区・宮前区・麻生区の神社では多くの“啓示”を受け、とても勉強になりました。この場を借りて、この講座の機会を与えてくれた皆様に感謝したいと思います。 ●一方、桜美林大学オープンカレッジの講師として、《『古事記』神話の時空を読み解く―神々自身に出自を語らしめよ》を、この10月22日から始めます。 ▽10/22(金)13:00〜14:30…語り部・稗田阿礼の素性/天地の創造とイザナギ・イザナミ/島々と神々の誕生 ▽11/5(金)同…黄泉国と三貴子と誓約 ▽11/12(金)同…天の岩戸とスサノヲ追放と出雲の国 ▽11/19(金)同・・・出雲神話とオホクニヌシ ▽11/26(金)同・・・天孫降臨と神武天皇まで お問い合わせ 桜美林大学生涯学習センター 神奈川県相模原市中央区淵野辺4−16−1 電話042−704−7075 ●ご存知・青ヶ島の“ひんぎゃの塩”が食育丸の内※青空市場(10月22日・23日)へ参加。 開催場所:丸の内ビルディング1Fマルキューブ(東京駅直結)11:00〜19:00 詳しくは、www.syokumaru.jp |
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2 | 善意と悪意 | 2010.04.15 |
法律用語では「善意」とは何も知らないことを言うらしい。すなわち、前提としての「悪意」を持っていない状態のことである。いうならば、まっさらな状態のことだ。 当然、魂胆のある人は、「善意」のひとを、あなた色に染めることができる。「善意」の人の腹が少々黒くても、その頭脳は真っ白なカンバスであるにちがいない。こうして、「善意」の人は、《仕分け》の思想によってマインドコントロールされる。あたかも、かつての《郵政改革》=《すべての構造改革》である、とマインドコントロールされたように…。 彼等は見るからに善意の顔をして、「善意」の振りをして登場する。それに対峙しようとする人々は、「善意」の人から見れば、明らかに「悪意」があるように見える。ほんとうは「悪意」を持っているように見える人が、実際には法律用語ではない正真正銘の〈善意〉者であっても、「善意」なる人には自分たち以外には「善意」者は存在しないと思っているのである。 それというのも、「善意」者はあなた色に染めることができる、という点で、染めようとしている人から見れば「新人」であるからだ。たしかに「新人」はマインドコントロールという信心をもって染まっている。「新人」はその「信心」によって、実は、「神人」の境地に達している。 すなわち、「信心」によって「新人」は「神人」となり、「善意」をもって立ち振る舞うのである。その「善意」に少しでも疑義を持つ人は「悪意」ある人物なのである。ほんとうは、その「悪意」ある人物が根っからの括弧が付かない善意者であっても、その人が「新人」=「神人」にたいし善意、否、好意を持っていても、対等に発言することじたいが「善意」に対する〈抵抗〉と見なされるのである。仕分けどころか仕置きされても仕方がないのである。 今、実に、危ういのである。何が善意だか、そうでないのか、わからなくなってきている。「善意」によって、島々には「悪意」の荒波が打ち寄せている。 |
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1 | 平成21年の全仕事 | 2010.01.10 |
寒中お見舞い申し上げます。 汝 虎穴に入って虎になれ 虎へ捨身して虎と化せ 丑寅と寅午に挟まれながら 鬼門を守れ 寅の刻に独り祈れ 弧状列島の社稷を護れ だが そのことにトラウマとなることなかれ 虎猫でもよいから虎となれ 自分より強そうな虎にはマタタビを捧げよ 龍馬もよいけど寅次郎の存在を決して忘れるな 平成22年1月5日 小寒 平成21年の全仕事 〔書籍〕 ●単著 『秦氏の秘教―シルクロードから来た謎の渡来人』 Gakken(学研パブリシング)2009年11月 ●共同執筆 『歴史読本』編集部編『総図解よくわかる日本史』の中の「(1)日本人の誕生と神話の時代」 新人物往来社 2009年7月 〔論文・エッセー〕 ●離島関係 海の視座から見る〈国生み〉神話―〈島々〉の誕生と〈海〉の霊性 『しま』No.216 平成21年1月 書評:西牟田 靖著『誰も国境を知らない―揺れ動いた「日本のかたち」をたどる旅』 同 シマと島のトポス 『国文学』平成21年3月号(学燈社) 日本的霊性を世界へ発信 『国づくり人づくり』創刊号 2009年2月 国境と“くにざかい”―海と島から古代の〈国境〉を視れば― 『しま』No.217 平成21年3月 伊豆諸島の名称と帰属の考察 『LAMER』No.196 2009 05/06 悪所・窟・島―華やかな遊廓に対する羨望と蔑視の感情が交錯 『若潮』43 March 2009 〈海と島の道〉の視点からの道州制 『しま』No.218 平成21年6月 〈島〉という〈異界〉 『しま』No.219 平成21年9月 書評:下野敏見著『南日本の民俗文化誌3 トカラ列島』 同上 ●歴史・宗教・民俗学関係 「モー、モー、モー」と牛が三度申す 『世界日報』平成21年1月1日号 古写真集成「明治人の肖像」宗教家の肖像…大谷光瑞・千家尊福・植村正久・清澤満之・島地黙雷・釈 宗演・田中智学・出口なお・福羽美静 『歴史読本』2009年3月号 伊那谷の霜月祭―アニメ「千と千尋の神かくし」のモデルになった里で行なわれる神々の饗宴 『ムー』2009年4月号 「厨子」の付く地名 『神社と実務』第7号 平成21年3月 「鬼」の大嘗祭―天河神社の秘祭「鬼迎え神事」 『ムー』2009年5月号 ●講義・講演 女神(めのかみ)の秘儀(3月14日) イシス学院(東京・銀座2丁目) 乙女の祈り(3月21日) ムスヒノツドヒ(大阪・吹田) 青ヶ島の神々と祭り(6月2日) 千葉大学 浅草海苔はなぜ半紙大なのか? 桜美林大学オープンカレッジ 神社の聖空間と祭神たち―メジャーな神々とマイナーな神々の出自(11月6日・13日・20日・27日、12月11日) 桜美林大学オープンカレッジ(PFC) かんぱち雨恋まつり(12月6日) 甑島・里公民館(鹿児島県薩摩川内市) |
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