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瑠璃天狗 ― その軌跡の歌物語

女国の 女護ヶ島の瑠璃天狗
ニライカナイの瑠璃天狗
黒潮の上を翔んでいく 西へ 南へ
潮の流れの色具合を観ながら翔んでいく

瑠璃天狗の生まれ故郷は戸隠山
瑠璃天狗は戸隠山の尼山伏だった
その験力は男の修験者たちを圧倒した
その美貌は男の修験者たちを惑わした

戸隠山に一人の男が現れた
彼は黄檗僧・釈潮音の影響をうけていた
旧事本紀大成経をもとに戸隠霊宗神道を創始した
やがて戸隠中院は日本一の霊場になるはずだった

しかし男は八丈島へと流された
彼女は絶望して身を投げた
その途端 何かに受け止められて女修験者は女天狗へと変身する
女天狗は伊豆地方へと飛び立った 島から島へ

やがて八丈島へ だが男はいなかった…
思いあぐねて女天狗は八丈の島中を 祠の中まで探し廻った
さらに 青ヶ島へまで翔んでみたりもした
いない いない いなかった(じつは、目と鼻の先の八丈小島にいたのだ)

それらが女天狗の修行となった かくて彼女は
限りなく神に近い存在となり 八丈の女流人たちを守護した
そんなあるとき 声が聞こえてきた
それはアマミキョとシネリキョからだった

女護ヶ島の瑠璃天狗は黒潮の上を翔んでいく
アマミに寄り ウチナーに寄って さらにヤエマーへ
さらに瑠璃色を深めながら翔んでいく
ニライカナイの瑠璃色の池を求めて その池の泉で水浴するために
(水を浴びれば孕むとや)
シマピトゥは彼女を天女だと想った
2007.10.01