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霧が流れる夜の時
時が流れる
霧が飛ぶ
心騒ぐ物憂い夜
つけっぱなしのテレビ画像が
勝手なことをほざきやがる
絶対時間と相対時間のはざまで
星々を打ち落とそうと試みたが
霧の帳が邪魔をした 出撃の挫折
ああ わたしは何を唄えばよいのか
食べかけのプラムの種子を吐き出して
思いっきり庭に投げつけた悲しさよ
霧が揺らいで 時も止まれよ
どこかへ行ってしまえ 夜なんか
2003.10.01
<自註>
平成3年7月11日のことだった。当時、わたしは青ヶ島村の助役をしていた。朝、登庁すると、わたしの机の上に一枚の紙切れが裏返しに置いてあった。それを見ると、次のような詩がワープロで書かれてあった。
静かなる夜
風がごうごうとなく夜
心あくまでもの静かな夜
聖なる夜
何もなせぬ夜
うたを忘れる夜
時を静かに待てる夜
夜
夜
夜
いつしか明けてしまう夜
いづこへと去る夜
また訪れる夜
静かなる夜
聖なる夜
夜
夜
署名はなかったが、当時、役場の最年少だった玉嶋秀猛さんのものであることはすぐ判った。そして、その30分後、わたしは上記(霧が流れる夜の時)の詩を書いて、簡易水道担当の、彼の机の上に置いた。それ以来、わたしは20数年ぶりに、また詩が書けるようになった。