小さな島の 小さな突堤へ
怒濤がしつこく押し寄せる
小さな港の内では潮花が舞う
まるで日本海の冬の季節のようだ
急勾配の坂にへばりつく艀に向って
どうと怒濤が轟く 岩が揺れる
海抜三十メートルの高さにあった木炭貯造小屋が
高波に呑み込まれて消えたこともある
怒濤が押し寄せると 島はかすかに揺れる
震度計は確実にノイズとして記録する
小さな島を呑み込もうとする怒濤
小さな島が呑み込まれないためには大きな島に呑み込まれなければならないのか
冷たい怒濤が本土のほうから大きな島も呑もうと押し寄せてくる
それでも小さな島は屏風のように立っている