槍ノ坂の道が視えない

 

 

わたしが歩いた槍ノ坂の道

かつて歩いた坂道の

その入口に足を踏み入れた途端

もう坂道が判らない

竹と雑木が入り込んだ藪・籔…があるだけ

 

一緒に踏み込んだ仲間の顔すらも視えない

ようやく見つけたスミヨシサマを祀った痕跡

ここは池之沢とオカベを結ぶ峠だから

もちろん池之沢を望むことができる

ところがその先の道が視えないのだ

昼なお暗き坂道があったはずだが

それが全く見当たらないのだ

 

全て一様のジャングル化した斜面

それでも記憶を辿って降りてはみたものの

わたしがかつて歩いた道の痕跡が

あらゆる痕跡がすっかり消えている

わたしの足の裏も道の痕跡を想い出せない

 

槍ノ坂の中腹にはハンブンカミサマがあるが

もちろんそこには辿り着けなかった

おお 槍ノ坂天狗よ 槍ノ坂木霊様よ

槍ノ坂の産土の神々よ トウゲサマよ

とほかみゑみため いずれ また参ります

槍ノ坂の坂道のわたしが歩いた痕跡を探すためにも

 

 

 

〔平成28年11月4~7日、八丈島で1泊、青ヶ島で2泊してきました。この槍ノ坂の探検は5日の午後のことです。〕

2月の「うた」

◆更新情報◆

平成28年4月4日

「島風とシマ神」に石工系の〈海の聖〉たちもいたかもしれない?(2016.04.04)を掲載しました。

都合により、「でいらほん通信」(〜2014.6.1)は
http://deirahon.com/sub/ に引っ越しました。

 

(c)2002−19菅田正昭  site管理人:吉田吉文 yoyo@orange.ocn.ne.jp   profile  更新履歴